アメリカの税法は非常に複雑で、節税の機会を逃すことなく、ビジネスや事業を運営する際に理解しておくべき重要な要素がいくつかあります。その中でも、Section 179控除とボーナス償却は資産を効果的に活用し、税金を最小限に抑えるための重要なツールです。Section 179控除とボーナス減価償却を組み合わせて、同じ課税年度に両方の控除を請求できる場合があります。今回は、これらの控除について説明します。
Section 179控除
Section 179控除は、ビジネスが新たな資産を購入し、それらの資産を所得税申告で控除として利用するための方法です。具体的には、購入した資産の一部または全部のコストをその年の所得税で控除できるというものです。以下はSection 179控除の主なポイントです。
対象資産
Section 179控除の対象となるには、あなたのビジネス用途に使われる資産に適用されます。Section 179控除に該当する対象資産は、Section 1245資産に適用されます。例えば、オフィス家具、備品、設備、車両(車両総重量が6,000ポンドを超えるもの)、コンピュータ、既製ソフトウェア(カスタマイズされておらず、一般的に入手可能なソフトウェア)などが対象となります。新規購入および中古購入ともに対象となります。制限額を超えなければ、購入年度に対象資産を100%控除することができます。
対象資産となる条件は次のとおりです。
・対象資産を50%以上をビジネスで使用していること。
・経営者が第3者より購入したものであること。
(贈与や相続により得た資産、事業関係者や親族からの購入により得た資産は対象外。)
・他者にリースしている資産でないこと。
・米国外で使用されている資産でないこと。
ドル制限額
Section 179控除の控除額には年間の制限額が設定されており、その年の所得税申告で利用できる限度があります。2023年のSection 179控除の制限額は$1,160,000ドルです。また、1年間に使用開始されるSection 179対象資産の購入額の限度額は、2023年においては$2,890,000ドルです。したがって、$2,890,000ドルを超える場合、ドル制限額が調整されます。
<例>
2023年において、Johnは、Section 179対象資産を$2,950,000ドル購入しました。この購入額は、ドル限度額である$2,890,000ドルよりも$60,000ドル多い金額となっております。その為、Johnは、ドル制限額を$1,100,000ドル($1,160,000ドル ー $60,000ドル)にしなければなりません。
事業所得制限
ドル限度額を適用した後において、毎年控除できるSection 179控除により経費にできる資産の総額は、その他の仕事で得た給与や賃金を含む、あらゆる貿易または事業の活動から得られるあなた(あなたの配偶者を含む)の課税所得を超えることはできません。
したがって、Section 179控除は、純損失(Net Loss)を生み出すことはありません。
ボーナス減価償却
ボーナス減価償却は、新たに購入した資産の価値を迅速に償却する方法です。この控除は、通常の減価償却よりも資産価値の一部を初年度に控除として利用できるという点で特別です。以下はボーナス償却の主なポイントです。
対象資産
ボーナス減価償却は、2017年1月1日より前に使用開始された資産で、修正加速度減価償却(MACRS)においての耐用年数が20年以下資産などに対して認められます。例えば、備品、コンピュータ、車両、オフィス家具などです。ボーナス減価償却は新規に購入した資産に対してのみ適用されます。中古の資産には適用されません。
償却割合
2023年においては、使用開始された資産の購入価格の最大80%を償却し、残りの20%の資産コストを数年間にかけて減価償却することができます。
対象資産の100%償却は、2022年12月31日に期限切れとなりました。法律が変わらない限り、今後数年間でボーナス減価償却は段階に下記のとおりに廃止されます。
2022年:100%
2023年:80%
2024年:60%
2025年:40%
2026年:20%
2027年:0%
制限額なし
Section 179控除には控除制限額や事業所得制限がありましたが、ボーナス減価償却には、そのような制限はありません。したがって、ボーナス減価償却では、純損失を生み出すために使用できます。
注記
IRS(米国連邦税務当局)規則では、最初にSection 179控除を適用し、その後にボーナス減価償却を適用することが求められています。
カリフォルニア州においては、Section 179で認められる経費控除の最大値は$25,000ドルです。
課税年度中に使用開始された全てのSection 179資産の購入金額が$200,000ドルを超える場合、控除額制限額は減額されます。
カリフォルニア州においては、既製ソフトウェア(カスタマイズされておらず、一般的に入手可能なソフトウェア)に対するSection 179経費選択が認めれていません。
カリフォルニア州は、連邦政府のボーナス減価償却を準拠していません。
まとめ
アメリカの税法において、Section 179控除とボーナス償却はビジネスにおいて重要な節税ツールとなります。これらの控除を活用することで、資産を効果的に活用し、税金を最小限に抑えることができます。Section 179控除はビジネス用途の対象資産に適用され、年間制限額が設定されています。ボーナス償却は新たに購入した資産に対して価値を迅速に償却する方法で、制限額がなく、純損失を生み出すことも可能です。
両方の控除を最大限に活用するためには、適切な計画と詳細な知識が必要です。また、地域によって異なる規則が適用される場合もあるため、特にカリフォルニア州の場合は要注意です。税金を最小限に抑えるためには、税務アドバイザーや専門家の助言を受けることが非常に重要です。確実な節税のチャンスを逃さないよう、これらの控除を活用する際には注意深く計画し、法令を遵守するよう努力しましょう。
Comment