IRSからPenalty Noticeが届いたら?2026年から変わるPenalty Relief制度と納税者が確認すべきポイント

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米国で税務申告をしていると、多くの納税者が一度は不安に感じるものがあります。

それは、IRS(Internal Revenue Service:米国内国歳入庁)から届くNotice(通知)です。

「税金を払う必要があるのか」
「Penalty(ペナルティ)が発生しているのか」
「IRSに連絡しなければいけないのか」

IRSからの通知を受け取ると、内容を確認する前に不安になってしまう方も少なくありません。

しかし、IRSのPenaltyにはさまざまな種類があり、状況によっては免除や減額を受けられる可能性があります。

2026年、IRSはPenalty Relief(ペナルティ救済)の仕組みを変更し、新しい制度 Automatic Exemption from PenaltyAEP を導入すると発表しました。

今回は、2026年から始まる新しいPenalty Relief制度について、従来のFirst Time Abate(FTA)との違い、対象となる方、そして海外資産を保有する日本人納税者が注意すべき点について解説します。

IRSのPenalty Reliefとは?

IRSのPenalty Reliefとは、一定の条件を満たす場合に、税務申告や納税の遅延などによって発生したPenaltyを免除または減額する制度です。

税務申告では、以下のようなPenaltyが発生する場合があります。

Failure to File Penalty
申告書を期限までに提出しなかった場合に発生するPenaltyです。

Failure to Pay Penalty
申告期限までに税金を支払わなかった場合に発生するPenaltyです。

Failure to Deposit Penalty
給与税などの税金Deposit(預入)が期限通りに行われなかった場合に発生するPenaltyです。

ただし、IRSはすべてのケースで自動的にPenaltyを免除するわけではありません。
納税者のCompliance History(過去の申告・納税履歴)や、遅延した理由などを考慮して判断します。

First Time Abate(FTA)からAutomatic Exemption from Penalty(AEP)へ

これまでIRSで最も一般的に利用されてきたPenalty免除制度が、First Time Abate(FTA)でした。
FTAは、過去3年間に期限通り申告・納税してきた納税者が利用できる行政上のPenalty免除制度です。

ただし、FTAを利用するためには、納税者自身がIRSへ連絡し、Penalty免除を依頼する必要がありました。
2026年夏から導入されるAutomatic Exemption from Penalty(AEP)では、この仕組みが変更されます。
AEPでは、IRSが申告書を処理する際に納税者のCompliance Historyを確認し、条件を満たしている場合には、Penaltyを最初からAssessment(賦課)しません。

つまり、対象となる納税者は、自らIRSへPenalty免除申請を行う必要がなくなります。

Automatic Exemption from Penalty(AEP)の対象となる申告書

AEPはすべての税務申告に適用されるわけではありません。

IRSが対象としている主な申告書は以下の通りです。

  • Form 1040(個人所得税申告書)
  • Form 1065(Partnership Return)
  • Form 1120(Corporation Return)
  • Form 940、Form 941などのPayroll Tax Return

個人納税者だけではなく、法人や事業主にも関係する制度です。

特に、S CorporationやPartnershipを運営している事業主の場合、法人申告やPayroll Tax申告のPenaltyについても影響する可能性があります。

AEPを利用するための条件

AEPの対象となるためには、過去の税務Compliance Historyが良好である必要があります。

一般的な条件は以下の通りです。

  • 過去3年間(Quarterly Returnの場合は過去12四半期)に同じ種類の申告書を期限内に提出していること
  • 税金を期限内に支払っていること
  • 過去のPenaltyについて、Reasonable CauseまたはIRS Errorによる免除を除き、問題がないこと

つまり、「今回初めて期限を過ぎてしまった」という納税者で、過去数年間きちんと税務義務を果たしてきた場合には、AEPの対象となる可能性があります。

AEPが適用されても税金が免除されるわけではありません

ここで注意が必要なのは、AEPは税金そのものを免除する制度ではないという点です。

AEPによって免除される可能性があるのは、対象となるPenaltyです。

そのため、

  • 未払いのTax
  • Interest(利息)
  • AEP対象外のPenalty

については、引き続き支払義務があります。

「Penaltyが免除される=税金を払わなくてもよい」という意味ではありません。

海外資産を保有する日本人納税者が注意すべき点

米国に居住する日本人納税者の場合、一般的な所得税申告以外にも注意すべき報告義務があります。

例えば:

  • FBAR(FinCEN Form 114)
  • Form 8938(Statement of Specified Foreign Financial Assets)
  • Form 3520(Foreign Trust and Certain Foreign Gifts)
  • Form 3520-A(Annual Information Return of Foreign Trust)

などです。

これらの海外情報報告(Information Return)は、通常の所得税申告とは異なるルールが適用されます。

今回発表されたAEPは、主にForm 1040や法人税申告などを対象とした制度であり、海外資産報告関連のPenaltyが自動的に免除される制度ではありません。

特にForm 3520やFBARのPenaltyは高額になる場合があるため、IRS Noticeを受け取った場合には、Penaltyの種類を正確に確認することが重要です。

AEPの対象外でもReasonable Causeによる救済があります

AEPの条件を満たさない場合でも、Penalty免除の可能性がなくなるわけではありません。

IRSには現在もReasonable CauseによるPenalty Reliefがあります。

Reasonable Causeとして考慮される可能性がある事情には、例えば以下があります。

  • 自然災害
  • 重い病気
  • 家族の死亡
  • 必要な記録を取得できなかった事情
  • 電子申告システムの問題

一方で、以下のような理由だけでは一般的に認められにくいとされています。

  • 税法を知らなかった
  • 単純なミスだった
  • 税理士に任せていた

納税者自身が、期限を守るためにどのような努力をしたのか、そして何が原因で期限を守れなかったのかを説明することが重要になります。

IRSからNoticeが届いた時に確認すべきこと

IRSから通知が届いた場合、まず確認すべきポイントは以下です。

  1. どの種類のPenaltyなのか
  2. 対象となる申告書は何か
  3. AEPまたはFTAの対象になる可能性があるか
  4. Reasonable Causeによる救済の可能性があるか
  5. IRSへの回答期限はいつか

IRS Noticeを無視すると、状況が悪化する可能性があります。

一方で、通知が届いたからといって、必ずしもPenaltyをそのまま支払わなければならないとは限りません。

ご自身の状況に応じて、利用できるPenalty Relief制度がないか確認することが大切です。

まとめ

2026年から開始されるAutomatic Exemption from Penalty(AEP)は、期限通りに申告・納税してきた納税者にとって大きな変更です。

従来のFirst Time Abateでは、納税者がIRSへ連絡して免除を依頼する必要がありましたが、AEPでは条件を満たす場合、IRSが自動的にPenaltyを適用しない仕組みになります。

ただし、すべてのPenaltyが対象になるわけではありません。

特に、FBARやForm 3520など海外資産関連の報告義務違反については、引き続きReasonable Causeなどによる個別対応が必要です。

IRSからNoticeを受け取った場合には、慌てて支払う前に、Penaltyの種類と利用可能な救済制度を確認することが重要です。

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