離婚協議中でもSingle申告できる?知らないと数千ドル損するかもしれない税金ルールと子どもの扶養控除

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離婚協議中、「税金のことは後回し…」と思っていませんか?
実は、申告ステータスや扶養控除の取り方を間違えると、数千ドル単位で税金を余計に払うことになる可能性があります。

この記事では、離婚が成立する前後で変わる申告ステータス(Filing Status)、子どもの扶養控除(Form 8332)、そして「世帯主(Head of Household)」判定で重要となるTemporary Absence(短期的な不在)の考え方について解説します。

【クライアント事例】
マリさん(仮名)は、別居しているからSingle(独身)で申告できると思い込んでいました。幸い申告前に相談されたため、Married Filing Separately(配偶者と別々に申告)で正しく提出できましたが、もしそのままSingleで申告していたら、後から修正と追加税金が必要になるところでした。

離婚手続き中でもSingle(独身)で申告できる?

よくいただく質問に、

「離婚手続き中で別居している場合、Single(独身)として申告できるのか?」

というものがあります。

結論として、法律上の離婚が成立していない限り、Single(独身)では申告できません。

離婚が成立していない場合の基本ルール

法律上結婚している限り、通常は以下のどちらかで申告します。

  1. Married Filing Jointly(配偶者と共同申告)
  2. Married Filing Separately(配偶者と別々に申告)

例外:事実上独身(Considered Unmarried)とみなされる場合

ただし、以下の条件をすべて満たす場合は、「世帯主(Head of Household)」として申告することができます。

  • 配偶者と最後の6か月間同居していない(Temporary Absenceと呼ばれる短期的な不在を除く)
  • 12月31日時点で法律上は婚姻状態にある
  • 子どもなどの扶養家族が1年の半分以上一緒に住んでいる
  • 家計の過半数を自分が負担している

この場合、法律上は結婚していても、IRS上では“事実上独身(Considered Unmarried)”とみなされ、「世帯主(Head of Household)」として申告することができ、Single(独身)よりも有利な税率や控除を受けることができます。

Temporary Absence(短期的な不在)とは?

ここで重要なのが「Temporary Absence(短期的な不在)」という考え方です。

Temporary Absenceとは、一時的に家を離れていても同居しているとみなされる場合を指します。

具体的には、次のような場合がTemporary Absenceに該当します。

  • 教育(例:大学寮に入っている子ども)
  • 医療や療養(例:病院への長期入院)
  • 仕事による出張
  • 軍務
  • 一時的な家庭内問題で別居しているが、離婚手続きを進めていない場合

このような場合には、配偶者が家を離れていても同居していると判断されるため、「世帯主(Head of Household)」の条件である「最後の6か月間同居していない」には該当しません。

Single(独身)とMarried Filing Separately(配偶者と別々に申告)の違い

「税率はSingle(独身)でもMarried Filing Separately(配偶者と別々に申告)でも変わらないのでは?」と思う方も多いですが、実際には、Married Filing Separatelyは以下の点で不利になることが多いです。

  • Earned Income Credit(勤労所得税額控除)が使えない
  • 学生ローン利息控除が使えない
  • IRA(個人退職口座)への拠出限度額が低くなる
  • 標準控除額はSingleと同額ですが、税率の階層(Tax Bracket)が共同申告やSingleよりも不利になる場合がある

感情面も大事

「Married Filing Separately(配偶者と別々に申告)」という申告方法に心理的抵抗を感じる方も多いですが、法律婚が続いている以上、Single(独身)での申告は認められません。

ただし、上記の条件を満たせば、「世帯主(Head of Household)」として申告することで、Single(独身)よりも有利な税率や控除を受けられます。

子どもがいる場合、どちらが扶養控除を取れる?

離婚時に子どもがいる場合、子どもの扶養控除(Child Tax Credit)をどちらの親が取るかは重要なポイントです。

IRSの基本ルール

原則として、子どもと1年の半分以上同居している親(Custodial Parent:監護親)が扶養控除を取る権利があります。


同居日数が50%-50%で同じ場合

もし両親で子どもと過ごした日数が完全に同じ場合は、両親で話し合って決める必要があります。合意できない場合、IRSのTie-Breaker Rule(優先順位ルール)が適用されます。

  1. 親である方が優先
  2. 両方とも親である場合は、Adjusted Gross Income(調整後総所得)が高い方の親が優先

Form 8332とは?

監護親(Custodial Parent)が、非監護親(Noncustodial Parent)に子どもの扶養控除を譲る場合は、Form 8332(Release/Revocation of Release of Claim to Exemption for Child by Custodial Parent)という書類を提出する必要があります。

口頭の約束や離婚協議書だけではIRSは認めません。毎年提出が必要です(離婚協議書で複数年にわたって認めている場合は別です)。

この書類を提出しないと、非監護親がChild Tax Creditを申告しても、IRSに否認されることがあります。

まとめ

  • 離婚が成立した場合は、Single(独身)または世帯主(Head of Household)(条件を満たす場合)として申告できる
  • 離婚が成立していない場合は、Married Filing Jointly(配偶者と共同申告)、Married Filing Separately(配偶者と別々に申告)、または条件を満たす場合は世帯主(Head of Household)として申告する
  • 世帯主(Head of Household)の「6か月別居」条件にはTemporary Absence(短期的な不在)は含まれない
  • 子どもの扶養控除は監護親が取るのが原則
  • 非監護親が取る場合はForm 8332が必要

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