米国所得税における子供税額控除(Child Tax Credit)とその他扶養家族税額控除(Credit for Other Dependents)について

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アメリカの所得税申告において、子供税額控除(Child Tax Credit)とその他扶養家族税額控除(Credit for Other Dependents)は、納税者が利用できる重要な税額控除です。これらの控除を適切に理解し、利用することで、納税者は年間の税負担を軽減することができます。ここでは、それぞれの税額控除の概要と条件について詳述します。

子供税額控除(Child Tax Credit)

2024年の税年度において、子供税額控除(Child Tax Credit)は、対象となる子供を持つ家庭に適用される重要な控除です。1人あたり最大$2,000の控除が可能で、そのうち$1,700は「還付可能(refundable)」です。これにより、納税者が納めた税額を超えて返金を受けることができます。所得税を支払っていない低所得者層の家庭もこの還付を受け取ることができます。

対象者の条件

2024年の税年度において、子供税額控除を申請するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 年齢: 年末時点で17歳未満(16歳以下)であること。
  • 関係性: 納税者の子供、養子、継子、養育許可を受けた子供、兄弟、姉妹、継兄弟、継姉妹、半兄弟、半姉妹、またはこれらの子孫(例:孫、姪、甥)であること。
  • 経済的支援: 年間の生活費の半分以上を自己負担していないこと。
  • 居住: 納税者と同じ住居に少なくとも年間の半分以上住んでいること。
  • 申告: 納税者の税申告において正式に扶養家族として申告されていること。
  • 婚姻状況: 扶養者がその年の税申告で配偶者と共同申告を行わないか、または所得税の還付を受けるためにのみ共同申告を行っていること。
  • 市民権: 扶養者が米国市民、米国国民、または米国居住者であること。
  • 社会保障番号: 扶養者が米国内で有効な社会保障番号(SSN)を持っていること。

子供税額控除(Child Tax Credit)が適用されない例

鈴木さんは2024年3月からアメリカの会社で働くためにUS 米国労働ビザを取得し、アメリカに滞在しています。鈴木さんの息子(9歳)は日本に住み続け、小学校に通っています。息子は日本では扶養家族とみなされるかもしれませんが、以下の理由により、鈴木さんの米国所得税申告書において子供税額控除(Child Tax Credit)の対象にはなりません:

  • 息子は鈴木さんと年間の半分以上一緒に住んでいない。
  • 息子は米国内に居住していない。
  • 息子は米国の社会保障番号(SSN)を持っていない。

このように、扶養者が日本に滞在している場合、子供税額控除の条件を満たしません。

収入の条件

控除の全額を受けるためには、納税者の年間所得が$200,000以下(共同申告の場合は$400,000以下)である必要があります。これを超える収入の場合、控除額は段階的に減少します。

申告の重要性

控除の還付を受けるにはIRSへの税申告が必要です。通常、税申告が必要でない家庭でも、この控除を活用するために申告することが推奨されます。

その他扶養家族税額控除(Credit for Other Dependents)

その他扶養家族税額控除(Credit for Other Dependents)は、子供税額控除の対象とならない扶養家族に対して提供される$500の非還付性税額控除です。

対象者の条件

この控除を申請するためには、以下の条件を満たす扶養家族が対象となります。

  • 年齢: 年齢に関係なく、18歳以上も含む。
  • 識別番号: 扶養家族が社会保障番号(SSN)または個別納税者識別番号(ITIN)を持っていること。
  • 関係性: 納税者が扶養家族を支援している親族、または納税者と同居しているが親族ではない者。
  • 市民権: 扶養家族が米国市民、米国国民、または米国居住者であること。
  • 収入の条件: 納税者の年間所得が$200,000以下(共同申告の場合は$400,000以下)であること。これを超える収入の場合、控除額は段階的に減少します。
  • 扶養申告: 納税者の税申告において扶養家族として申告されていること。
  • 子供税額控除の不適用: 扶養家族が子供税額控除や追加子供税額控除の対象とならないこと。

その他の扶養家族税額控除(Credit for Other Dependents)が適用される例

佐藤さんは2024年5月に家族と共にアメリカに移住し、米国労働ビザを取得して自らの会社で事業を開始しました。妻と娘(19歳の大学生)とともにアメリカ国内で生活しています。娘は17歳未満ではないため、佐藤さんは娘を扶養者として子供税額控除(Child Tax Credit)を受けることはできません。佐藤さんの娘は社会保障番号は持っていませんが、それ以外においては、その他の扶養家族税額控除(Credit for Other Dependents)の条件を全て満たしています。

その場合、佐藤さん夫妻は所得税申告書を提出する際に、娘のITIN(個別納税者識別番号)を同時に申請することで、娘を扶養家族として申告し、Credit for Other Dependentsを適用することが可能です。

控除額と収入の条件

控除額:

  • その他扶養家族税額控除は、対象となる扶養家族一人あたり$500です。この控除は非還付性であり、納税者が納めた税額を超えて還付されることはありません。

収入の条件:

  • 納税者の年間所得が$200,000以下の場合(共同申告の場合は$400,000以下)に、控除の全額を受けることができます。
  • これを超える収入の場合、控除額は段階的に減少します。

障害を持つ扶養者の場合の条件

過去には障がいを持つ扶養者に対して年齢制限の例外が認められていましたが、2021年以降の税法では年齢制限(16歳以下)に関して例外はなくなっています。そのため、障がいがある場合でも、17歳以上の扶養者はChild Tax Credit($2,000)の対象にはなりません。
該当する場合は、代わりにその他扶養家族税額控除(Credit for Other Dependents:$500)を申請することになります。

障害の証明:

  • 医療機関や政府機関から発行された証明書が必要です。障害は身体的、精神的なものを含みます。

サポートの条件:

  • 障害を持つ扶養者が自分自身のサポートを50%以上提供していないこと。

居住の条件:

  • 障害を持つ扶養者が納税者と同じ住居に少なくとも年間の半分以上住んでいること。

まとめ

アメリカの税法における子供税額控除とその他扶養家族税額控除は、納税者が利用できる重要な節税手段です。これらの控除を適切に理解し、申請することで、年間の税負担を大幅に軽減することができます。特に、日本から米国に来る場合でも、SSNやITINを取得することでこれらの控除を申告することが可能です。詳細な条件や手続きを確認し、最大限の節税効果を享受するために、税務専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。扶養控除や税額控除を最大限に活用し、効果的な税務管理を行いましょう。

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