FBARを出していなかった人へ

Tax

― 海外口座の「過去分申告」が今からでもできる理由

アメリカの税法上の居住者(市民権・永住権・一定の滞在日数を満たす方)は、日本を含む海外の金融口座を持っている場合、FBAR(FinCEN Form 114)の提出義務があります。

しかし実務の現場では、
「所得税申告は毎年していたのに、FBARは一度も出したことがない」
「日本の銀行口座は関係ないと思っていた」
という方が非常に多くいらっしゃいます。

FBARは税金を払う書類ではなく、海外口座の開示をする制度ですが、未提出のまま放置するとペナルティの対象になる可能性があるため、「今まで出していなかった人がどう対応すべきか」を正しく知っておくことが重要です。

FBARは「口座ごと」ではなく「合計額」で判定される

まず、もっとも誤解が多いポイントがあります。

FBARは
「日本のA銀行が1万円、日本のB証券が9,000ドルだから大丈夫」
という考え方ではなく、
すべての海外口座の年間最高残高の合計1万ドルを超えたかで判定されます。

つまり、どれか1つの口座が1万ドルを超えていなくても、
合計で超えた瞬間があればFBAR対象になります。 この仕組みについては、こちらのYouTube ShortsでZEIFUKU君が会話形式でわかりやすく解説しています。
🎥 FBARは「口座ごと」じゃない|判断基準は合計残高1万ドル

なぜ「帰国・送金の年」にFBAR漏れが起きやすいのか

FBARの判定は「年末残高」ではなく、その年の“最高残高”です。

たとえば、

  • 日本へ帰国するために一時的に多額を送金した
  • 日本の複数口座を一つにまとめた
  • 証券口座や外貨預金を整理した

このような動きがあると、ほんの数日だけ合計が1万ドルを超えることが珍しくありません。
本人の感覚では「すぐ戻した」「一時的だった」と思っていても、FBARのルール上はその一瞬が基準になります。

帰国前後に申告漏れが起きやすい理由は、この「最高残高ルール」にあります。

FBARは「過去6年分」まで遡って提出できる

ここが、FBARの大きな特徴です。

FBARは、過去6年分まで遡って自主的に提出することが可能です。
つまり、「何年も出していなかった」場合でも、今からまとめて提出できる仕組みになっています。

そして重要なのは、
税務当局が動く前に、自分から出すかどうかで結果が大きく変わる点です。

実務では、

  • 何もせずに放置 → 監査で発覚 → ペナルティの対象
  • 自主的に遡って提出 → ペナルティが軽減または免除される可能性

という大きな差が生じます。

米国の所得税申告をしていても、FBARの提出義務は別に存在します

FBARは、Form 1040(米国所得申告書)とは別の制度です。
税金の計算が正しく行われていても、FBARを出していなければ未提出になります。

つまり、

「税金は払っていたから大丈夫」
ではなく、
「海外口座を開示していたかどうか」
が問題になります。

この点は、帰国前チェックリストとしてYouTubeでも解説しています。
🎥 帰国する前に絶対知っておくべき税金チェックリスト

まとめ

FBARは、
・日本の銀行や証券会社の口座(円・ドルを問わず)
・日本のドル建て預金
・その他、米国外の金融機関にある投資口座
を持っている方にとって、毎年の必須手続きです。

そして、

  • 出していなかったから「もう終わり」ではなく
  • 出していなかったからこそ「今すぐ動く価値がある」

という制度でもあります。

もし、

  • FBARを一度も出した記憶がない
  • 帰国や送金で口座残高が動いた年がある
  • 日本の口座を複数持っている

このいずれかに当てはまる場合は、
何も起きていない今が、もっとも安全に是正できるタイミングです。

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