今回は、日本とアメリカの両方で年金を受け取る予定の方、またはすでに受け取っている方にとって、大切なお知らせをお届けします。
WEP(Windfall Elimination Provision)とGPO(Government Pension Offset)とは
これまで、多くのお客様から次のようなご質問をいただいてきました。
「日本で年金をもらっていると、アメリカのSocial Securityが減額されると聞いたのですが、本当ですか?」
実際にこれまで適用されていたWEPとGPOは、以下のような仕組みでした。
WEP(Windfall Elimination Provision)
日本の厚生年金など、外国の年金を受け取っている場合、アメリカの老齢年金(Social Security)が減額される仕組み。
GPO(Government Pension Offset)
配偶者年金や遺族年金を受け取る際に、本人が社会保障非対象の公的年金(日本の年金など)を受給していると、その分アメリカでの配偶者年金・遺族年金が減額される仕組み。
Social Security Fairness Actによる廃止
2025年1月5日に施行されたSocial Security Fairness Act(社会保障公平法)により、これまで適用されていたWEP(Windfall Elimination Provision)とGPO(Government Pension Offset)の規定が廃止されました。
主なポイント
- 2024年1月分以降、WEPとGPOによる減額はなくなります。
- 日本で年金を受け取りながらも、アメリカの年金を本来の計算式に基づいて受給できるようになります。
具体例
ケース1:退職年金(WEP廃止による影響)
ゆかりさんは、日本で62歳から年金を受け取り、アメリカでは65歳からSocial Securityを受給する予定です。これまでは日本年金があることで、アメリカの年金が数百ドル減額される可能性がありましたが、今後は本来の計算式に基づいた金額で受給できる可能性があります。
ケース2:配偶者年金・遺族年金(GPO廃止による影響)
なおさんは、日本で厚生年金を受給しつつ、アメリカで亡くなった配偶者の年金(遺族年金)を受け取ることになりました。以前は、日本の年金額の2/3分がアメリカの遺族年金から減額されていましたが、GPOの廃止により、今後は満額で受給できるようになります。
いつまで遡れるか
- WEPとGPOが適用される最後の月は2023年12月です。
- 2024年1月分(通常は2月に支給される分)からは減額なし。
- すでに受給していた方には、2024年1月分まで遡って増額分が一括で支払われます。
現在、Social Security Administration(SSA)が順次給付額を調整しており、複雑なケースでは最大1年かかる可能性があるとされています。
まとめ
これまで、「日本(外国)での年金があるからアメリカの年金は減額される」と思っていた方にとって、今回の法律改正は大きな変化です。日本とアメリカ、二つの国で納めた年金分を、それぞれきちんと受け取れる仕組みになったと言えるでしょう。
私自身も、将来的には日本とアメリカの両方で年金を受け取る予定ですので、このニュースはとても嬉しく感じています。
これまで頑張って働いてきたことが、しっかりと形になって返ってくるのは心強いですよね。
今後も、このような年金や社会保障に関する最新情報をわかりやすくお届けしていきます。気になることがあれば、ぜひご相談ください。
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