海外からの贈与や相続を受けたあなたへ:Form 3520の提出義務とは?

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アメリカに住んでいると、日本の家族から資金援助を受けたり、相続で資産を受け取る機会があるかもしれません。その際に注意しなければならないのが、Form 3520 という申告書の提出義務です。

「贈与なのに税金はかからないのでは?」と思うかもしれませんが、米国税法では一定額以上の海外からの贈与や相続を受けた場合、IRS(米国税庁)への報告が義務付けられています
この報告を怠ると、受け取った金額の最大25%のペナルティが科される可能性があるため、事前にしっかりと理解しておく必要があります。
ただし、合理的な理由(Reasonable Cause)を示し、誠実に行動した場合にはペナルティが免除される可能性があります

それでは、誰がForm 3520を提出する必要があるのか、そして提出しなかった場合のリスクについて詳しく見ていきましょう。

Form 3520とは?

Form 3520(Annual Return to Report Transactions with Foreign Trusts and Receipt of Certain Foreign Gifts)は、以下のようなケースで提出が必要になる書類です。

  • 海外から年間 $100,000 以上の贈与や相続 を受け取った場合(主に家族・親族からの贈与・相続財産)
  • 外国法人や外国パートナーシップから年間 $19,5702024年基準)以上の贈与 を受け取った場合
  • 外国信託の受益者になった場合や、外国信託に拠出した場合

例えば、日本の家族からの送金や相続財産が年間$100,000を超えると、たとえ米国の贈与税や相続税がかからなくても、IRSに報告する義務があります
提出義務を怠ると、高額なペナルティが科される可能性があるため、注意が必要です。

Form 3520を提出する必要があるのは誰か?

Form 3520を提出する義務があるのは、米国税法上の居住者(U.S. Resident for Tax Purposes です。

米国税法上の居住者とは?

  • 米国市民(U.S. Citizen → 常に米国税法上の居住者
  • 米国永住権(グリーンカード)保持者 → 常に米国税法上の居住者
  • サブスタンシャル・プレゼンス・テスト(Substantial Presence Test)を満たす人 → ビザの種類により一定の滞在日数を満たすと、米国税法上の居住者とみなされる

米国居住者に該当するかどうかの判断は、状況によって異なるため、自分がForm 3520を提出する義務があるのか不明な場合は、専門家に相談することをおすすめします。

Form 3520を提出しないとどうなる?

Form 3520を提出しなかった場合、または誤った情報を報告した場合、IRSは厳しいペナルティを科す可能性があります。

贈与・相続の報告漏れによるペナルティ

海外の個人(日本の親や親族)から$100,000以上の贈与や相続を受けたにもかかわらずForm 3520を提出しなかった場合、罰金は最大受領額の25% にのぼります。
例えば、日本の親から$150,000の贈与や相続を受けたのに申告しなかった場合、最大$37,500のペナルティが科される可能性があります。

外国法人・パートナーシップからの贈与の報告漏れ

外国法人や外国パートナーシップから$19,570(2024年基準)以上の贈与を受け、Form 3520を提出しなかった場合、

  • 最初の罰金は受領額の 5%
  • 毎月5%のペナルティが加算され、最大 25% に達する可能性

外国信託に関するペナルティ

  • 外国信託の所有者がForm 3520を提出しなかった場合 → 拠出額の 35% の罰金
  • 外国信託の受益者がForm 3520を提出しなかった場合 → 受け取った分配金の 35% のペナルティ

IRSは、海外資産の監視を強化しており、銀行の送金履歴やFBAR(外国口座報告)との照合を行っています
「知らなかった」では済まされないケースも多いため、早めに適切な対応を取ることが重要です。

まとめ:Form 3520の提出を忘れずに!

日本の家族からの贈与や相続は、「税金がかからない」と思いがちですが、IRSへの報告義務は別問題 です。
特に以下の点に注意しましょう。

  • 年間$100,000以上の海外からの贈与や相続はForm 3520で報告が必要
  • 報告しないと、受領額の最大25%のペナルティが発生するリスクあり
  • 外国法人や外国信託との取引も慎重にチェック
  • 提出期限は415日(延長申請で1015日まで)

もしForm 3520の提出を忘れた場合、できるだけ早くIRSへ「Reasonable Cause」(正当な理由)を示して申告することで、ペナルティを軽減できる可能性があります

「海外からの贈与や相続があるが、Form 3520を提出すべきかわからない」「提出期限を過ぎてしまった」「ペナルティを避けたい」 という方は、専門家に相談するのが安心 です。適切な申告を行い、リスクを回避しましょう!

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